前回RTX830の初期セットアップ記事を書きました。ヤマハルーターの良いところは簡単に設定できるよう市販機器のようにGUIが搭載されているところです。今回はリモートアクセスVPNの設定を追加し、遠隔地からネットワーク内へアクセスできるようにします。
RTX830でリモートアクセスVPNを設定する
リモートアクセスとは?
遠隔地からネットワークへPC端末などを参加させる行為です。例えば、通常だと外出先や自宅から会社事務所内にあるサーバーへアクセスすることは物理的に不可能ですが、インターネット回線を使ってこれを可能にする技術のことです。いくつか方法はありますが今回はL2TP/IPsecというVPNの通信を使ってこれを実行します。
事前準備
初期セットアップ&インターネット接続
前提として、RTX830の初期セットアップが終わり、ネットワークがインターネット接続ができる状態にあるところからスタートします。もしまだその辺りの設定ができていない場合は前回の記事を参考にしてください。

ネットボランチDNSの取得
VPN設定をするためにはプロバイダの固定IPアドレスプランの契約が望ましいです。
が、「固定IP?なにそれ」という方も心配いりません。
ヤマハルーターならネットボランチDNSというサービス(機能)でどうにかなります。IPアドレスの替わりに
ダッシュボード上タブの”かんたん設定”メニューを開き、”ネットボランチDNS”をクリックします。
利用規約に問題なければ次に進み、入力したホスト名の確認をしたら次へ進みましょう。
ネットボランチDNSを取得することができました。○○○.aa0.netvolante.jpとなっていると思います。この○○○の部分が他で使用されている名前であれば「aa0」の部分が「aa1」や「ab1」になることがあります。
ネットボランチDNSの取得については、以前の記事で取得方法を機種毎にまとめたことがあります。よかったらご覧ください。

リモートアクセスVPNを設定する
かんたん設定タブの中の”VPN”をクリックすると3つのボタンがでてきます。リモートアクセスを選択しましょう。もちろん未設定なので新規ボタンで設定をつくっていきます。
VPNの設定値をつくります。RTX830は初期値でほぼ大丈夫です。
L2TP/IPsecを使用する
チェック
認証鍵
任意の文字列を入力(パスワードのようなものです)
認証アルゴリズム
HMAC-SHAを選択(初期値)
暗号アルゴリズム
AES-CBCを選択(初期値)
PPP認証方式
MSCHAP-V2を選択(初期値)
これだけです。実質L2TP〜にチェックを入れて認証鍵の入力をするだけですね。
接続するためのユーザー名とパスワードを入力します。+ボタンで複数のユーザーを作ることができます。
入力内容の確認をし、設定を確定させます。これでリモートアクセスVPNの設定ができました。
WindowsPCでL2TP/IPsecリモートアクセス
リモートアクセスVPNの設定ができたので遠隔地からアクセスしてみましょう。スタートメニューの歯車アイコン”設定”をクリックします。
“ネットワークとインターネット”の中にある左メニューの”VPN”を選択します。
“VPN接続を追加する”でルーターに設定した情報を入力します。
VPNプロバイダー
Windows(ビルトイン)を選択
接続名
「VPN接続」など任意で名前を決めます
サーバー名またはアドレス
ネットボランチDNSの名前「○○○.aa0.netvolante.jp」や固定IPアドレスをお持ちの方は固定のグローバルIPアドレスを入力
VPNの種類
事前共有キーを使ったL2TP/IPsecを選択
事前共有キー
リモートアクセスの設定値で決めた「認証鍵」
サインイン情報の種類
ユーザー名とパスワードを選択
ユーザー名
リモートアクセスの設定値で決めた「ユーザー名」
パスワード
リモートアクセスの設定値で決めた「パスワード」
入力が完了するとVPN接続のボタンが表示されます。「接続」でVPN接続、「詳細オプション」で設定の編集、「削除」でVPN接続設定を削除します。
接続済み表示になるとネットワークへのVPN接続ができました。
注意点
VPN接続は「外部からルーターの内部(LAN)」へアクセスします。(そのためにグローバルIPアドレスやネットボランチDNS等のダイナミックDNSでルーターへ接続するのです)
もし宛先のVPNルーター配下のネットワークにいる場合はアクセスできません。できないというか既にネットワーク内部に参加しています。ネットワーク内のWi-Fi環境でのVPN接続も同様に無意味です。接続済み表示にはなりませんのでご注意を。ぜひ遠隔地からのVPN接続を試みてください。